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香道では、沈水香という天然の香木のみを用います。 きわめて貴重なその天然香木を尊敬する気持ちが香道入門の基本です。 一般的に香木の代表が沈水香(じんすいこう)と呼ばれるもので、その最上品を伽羅(きゃら)といいます。香木と言っても、木そのものが芳香を放つのではありません。自然に枯死したり、バクテリアによって朽ちたある種の木の樹脂が土中に埋もれている間に木質に沈着し、それを熱すると香りを発するのです。そのため、香木の採集はほとんど偶然にたよるしか他に方法はありません。しかも、樹齢数十年を経た老木でないと、沈着が発生しないといわれますから、香木がいかに貴重なものかご理解いただけるでしょう。 香道の精神は、この希少な天然香木を敬い、大切に扱う気持ちが原点です。香をたくにはさまざまな形式がありますがその基本は、何といっても香木に対する尊敬の念にほかなりません。それが上達を早め、香道の真の理解につながります。香をたくという、一見なんでもないように見える好意にも、実は深い思慮と精神が 秘められているのです。
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| 香りを「かぐ」ことを香道の世界では「聞く」といいます。 かぐでも匂うでもなく「聞く」─。 この言葉に香道の魅力のすべてが秘められています。 香りはすべて「六国五味」で分類されます。六国とは香木の種類のことで、伽羅・羅国・真南賀・真南蛮・寸門多羅・佐曽羅の六つ。五味とは、匂いの特色を五つの味覚で表現したもので、甘(あまい)・苦(にがい)・辛(からい)・酸(すっぱい)・鹹(しおからい)に分類されます。この六国五味を習得するには、相当の経験が要求されます。しかし、できる限り聞香の回数を増やすことによって、少しでも上達するよう努力します。 古くより「香の十徳」といわれ、香が及ぼす肉体的・精神的な効用が伝えられています。 (一) 感覚を研ぎ澄ます (二) 心身を清浄にする (三) 穢(けが)れを取り除く (四) 眠気を覚ます (五) 孤独感を癒す (六) 多忙時でも心を和ます (七) 沢山あっても邪魔にならない (八) 少量でも芳香を放つ (九) 何百年をへても朽ちはてない (十) 常用しても害がない 香道は精神世界の芸術です。ひたむきに聞香に励めば、心の奥底に深いやさしさをたたえたあなた自身に、やがて逢えるかもしれません。
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